ニックの選択肢(2) – 何らかの理由でシミュレーションをしない

技術があってもシミュレーションをしない可能性

前の記事では、ニックの選択肢(1) 「シミュレーション技術を開発できない」可能性について述べた。

これを読んでみなさんがどう思ったかはわからないが、個人的にはやはり技術が進めばシミュレーション技術は開発されるのではないだろうかと考えている。

そして、選択肢(2)は

「技術は開発されているものの何らかの理由で実際にシミュレーションしていない」

というもの。

「何らか」とはなにか?

もっとも考えられる要因は「道徳的・倫理的な要因」だ。

現在我々人間の世界では、人間のクローン製造を道徳的・倫理的な要因で禁止している。

世界をシミュレーションする、つまり世界を作るということは数え切れないほどの生物のクローンを作るようなものである。

それはだめだ、ということでシミュレーションは行わないようにしているのかもしれない。

とはいえ、本当に誰もシミュレーションしないだろうか。

たとえ逮捕されようと倫理に反しようと、技術があるのであればいずれ誰かしらはシミュレーションしてしまうのではないか。

特に、シミュレーション技術が開発された直後は誰もが敏感になっているかもしれないが、その後数百年数千年たってもシミュレーションしないということが本当にあり得るだろうか。

人間だって今はクローンを禁止しているが、千年後人類がまだ生きているとしたら、さすがにクローン技術も活用されているのではないかと思ってしまう。

同じようにシミュレーション技術も、もし技術が開発されているのであればそれを使わないということはまずないと考えるのが妥当だろう。

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