不要な部分は省略された世界

ゲームの世界では一部しか存在しない

RPGゲームを例にとってみよう。

RPGゲームには広大なマップがあり、それぞれの町には建物や住人がいるし、森には木やモンスターがいるし、洞窟には岩や宝箱があったりする。

しかし、例えば主人公がA町にいる時、B町、C町や森、洞窟は常に存在しているかというとそれは違う。

もちろんデータとしては存在しているのだが、実際に物体や道を配置したり表示したりすることはない。

なぜかと言うと、見えていない場所は作っておく必要がないからだ。

画面外の部分をしっかり作っておいても、誰もそれに気づくことはない。

ならばそれは完全に無駄である。

画面内の部分、A町にいるならA町だけを作っておいて、B町やC町はそこに行った時に作ればいいのだ。

もちろんB町やC町に行った時にはA町はもう必要ないから、消してしまう。

A町の中でも、建物の内部などは基本的に作っておかない。

主人公がその建物に入った瞬間、作ってしまえば何の問題もない。

すべてを作ってしまうと、処理が多くなってしまいゲームとして成り立たなくなる。

だからゲームでは、必要な部分を必要な時にだけ作っている。

世界のシミュレーションは膨大な処理

世界をシミュレーションするには、膨大な処理が必要となる。

これは「シミュレーションは技術的に不可能」の記事でも触れた。

まだ読んでない人はぜひ読んでみて欲しい。

世界をシミュレーションできる技術 ニックの1つ目の選択肢は、 「すべての生命体は、現実と区別がつかないほどのシミュレーション...

そのため、できるだけ不要な処理を省略して、処理容量を節約する必要がある

上記記事では「この世界にある原子(さらにはもっと小さいもの)をすべてシミュレーションする」必要があると述べた。

しかし、実際にはその必要はないのだ。

なぜかというと、この世界にもゲームの世界と同じように、処理する必要のない「不要な部分」があるからだ。

この世界の「不要な部分」とは?

では、不要な部分とはどこか。

それは、我々人間を含む全ての生物や機械が気づかない部分である。

例えば、ボールを投げた時にそのボールの動きがうまくシミュレーションできておらず、変な動きをしたら我々は「おかしい」と気づくだろう。

しかし、そのボールを構成する原子の1つが変な動きをしたとしよう。

それに気づく人は間違いなく誰もいない。

そう。

原子レベルの小さな部分では、原子1つぐらい変な動きをしても、たとえ静止していたとしても、誰も気づかないからテキトーにシミュレーションしていても構わないのだ。

ここで疑問を持つ人がいるかもしれない。

「確かに人間の目で見ても原子1つの動きは分からないが、もし電子顕微鏡で観察すれば分かってしまうのではないか。」

確かにそうだ。

しかし、「顕微鏡で見たら原子が変な動きをしていた」というような報告は特にない。

その理由は簡単だ。

「電子顕微鏡で観察された時には、正確に原子をシミュレーションしている」からである。

誰も細かいところまで見ていない時にはアバウトにシミュレーションして処理容量を節約しているが、誰かが細かいところを見た瞬間、節約の度合いを下げてしっかりとシミュレーションするのだ。

このようにすれば処理容量を効率的に節約でき、シミュレーションに気づかれることもない。

二重スリットの実験

そんなことがあり得るのか、と思うかもしれない。

しかし、実はその様子を人間は確認してしまったのである。

二重スリットの実験というのをご存知だろうか?

量子力学で最も有名な実験であり、量子力学の面白さを象徴するような実験である。

説明するとかなり長くなるので、内容はこの動画を見てもらいたい。

簡単に言うと、人間が詳しく観測するかしないかによって、粒子の性質が変わってしまうという実験である。

この不可思議な現象の理由は未だに解明されていない。

まさに「普段は性質を省略しておいて、観測された瞬間に性質を変えている」ようだと思わないだろうか。

他にも「不要な部分」はある

原子レベルの小さなの世界の他にも、「不要な部分」はまだある。

まず原子の世界と同じように考えることができるのは、宇宙の世界

宇宙も普段はシミュレーションを省略していたとしても誰も気づかない。

望遠鏡で誰かが観測した瞬間、正確なシミュレーションをすればいいのだ。

では「不要な部分」がミクロな世界やマクロな世界だけかと言うと、そうではない。

誰も見ていない部分など、いくらでもある。

例えば、今あなたの後ろには、本当に普段の景色が広がっているのだろうか?

振り返るともちろん普段の景色は見える。

それは観測しているのだから当たり前だ。

誰の目にも写っていない部分、誰も観測していない部分はもしかしたら真っ黒な世界が広がっているのかもしれない。

そして、全ての生物は睡眠をとるようにできている。

まぶたを閉じて寝ている間、その人の周りの景色を省略できたとしたら、相当な処理容量の節約になることだろう。

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コメント

  1. こんち より:

    面白い記事でした。
    しかしこの世界がシミュレーションなら、災害などの苦難のない世界を設計者には作って欲しかったです。

  2. ステークホルダー より:

    この仮説をあてると、大抵のことが説明つけられますから、そういう意味では、万能かつ優れた見解だと思います。